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勝手に企画!ドラマシリーズ!!
勝利の鐘、未だ響かず(仮題)〜如月さん編〜

期末テストの数日前。主人公は如月さんと学校の図書室で勉強をしていた。
程よく仲のいい二人には時々こんな風景が見受けられた。

やがて閉館の時刻。他の生徒が帰ると図書委員の如月さんは軽く図書室の整理を始める。主人公もそれを手伝う。
落ちていたりずれているものは元に戻し、破れている所があれば修理する。のちに簡単なごみ拾い。
人気のない図書室でのこんな作業は二人にとって聖域であった。

ふと一冊の本が落ちているのに気がつく。
如月さんがそれに近づき、拾おうとしてかがむ。
本の題名は「原色全日本毒茸大全(関東編)」、さすがの如月さんも知らない珍しい本だった。
やたらとぶ厚く重い。渾身の力をこめ持ち上げようとした時、頭上から声がした。
かろうじて聞き取れるか細い声。

見上げると一人の女の子がいた。
軽くウエーブのかかった艶やかなロングヘアー、たれ目で端整な顔だち。
純日本風な愛らしい美貌がじっと如月さんを見つめていた。
「これは、あなたの本ですね。」
体を起こしながらその本を手渡すと、その娘は軽く頭を下げ小さな声でお礼をつぶやいた。
「あ・・、いえ・・、どういたしまして。」
如月さんがすっとんきょうな返事を返す。なんとなく決まりが悪い。
その娘はそのまま振り返り、その場を離れ図書室を出ていった。後ろから黒猫がついて行く。

立ち尽くす如月さん。いつの間にかその後ろにいる主人公。
「いつからいたのかしら?」
「いつからいたんだ?」
二人の台詞が重なった。

そして事件は起きていた。
登校すると学校が騒がしい。玄関前には数台のパトカーが止まっている。
あちこちでひそひそ話をする生徒。たむろせずに教室に集まるようせかす先生。なにやら不穏な空気が渦巻いていた。
事の内容を把握していない主人公だったが、玄関で先生に呼び止められた。
「お前、昨日の放課後、図書室にいたよな。ちょっと来てくれないか?」
その通りであったし、やましい心当たりのない主人公は先生について行った。
「なにかあったんですか、先生。」
「図書室で毒殺未遂事件だ。」
物騒な事件が起こったことを初めて理解した。
会議室には10人くらいの生徒がいた。昨日の放課後に図書室にいた者はすべて集められているようだ。
当然、如月さんもその一人。主人公は彼女に近づくと小声でつぶやいた。
「大変な事になったみたいだね。」
無言でうなずく彼女。
事件の概要はこんな感じであった。
昨日の夕方7時前、侵入者警報のブザーが鳴ったため警備員が校内を巡視したところ、 図書室で人が倒れているのを見つけ救急車を呼んだ。
被害者はこの学校の3年男子生徒で名前は秘密。発見が早く、幸い命に別状はないものの血液からある種の毒物が検出された。
鑑識によると毒物が体内に入ったのは、侵入者警報のブザーの直前あたり。
さて、そうなると主人公と如月さんが怪しまれるであろうことは火を見るより明らか。
人気のない図書室に二人だけで残っていたとあっては疑わしさ大爆発だ。
二人はくどくどと時間のかかる事情聴取を覚悟していた。

そこでもう一度会議室を見回し、あることに気がついた。
主人公の横の如月さんも不思議そうな顔をしていた。
目と目が合う二人。同じことに気がついているようだ。
「あの娘がいないわ。」
「あの娘がいない。」
二人の台詞が重なった。

この事件が後々起こる大騒動の引き金でしかなかったことを知るのはまだまだ先のことだった。

・・・・あの娘の正体とは?如月さんとの恋のゆくえは?乞うご期待!!


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