いつものように下駄箱で靴を履き替えていると爆裂山校長がやってきた。
何やら慌てている様子で、赤い顔で息を切らしている。
「おう、君。ここにいたのか?」
どうやら主人公を探しているようだった。
「君はたしか同じクラスの寿さんと仲が良かったよな。」
「あ、はい。」
「君なら彼女を説得できるかもしれない。」
「一緒に来てくれ!」
「どこへです?。」
「これから警察署に行くからワシの車に乗ってくれ。」
「け、警察署!?」
主人公を乗せた爆裂山校長の車がひびきの警察署に向かう。
「いったい、寿さんが何をしたんですか!?」
「きらめき工業高校の男子生徒数人ともめて傷害事件を起こしたんだよ。」
「傷害事件!?…で、寿さんは大丈夫なんですか!?」
「それがだ…怪我をしたのは男子生徒の方なんだよ。」
「は?」
「ワシも詳しい事情は分からないが、とにかく男子生徒数人が彼女一人に病院送りにされたそうだ。」
「はぁ。」
傷害事件とは驚きだが、とりあえず寿さんが無事なようなので冷静に会話をする二人だった。
「ところがだ、困ったことはそれではないんだよ。」
「他にも何かあるんですか?」
「彼女、留置所から出たくないと言っているんだ。」
「はぁ?何で…でも、いきなり留置所ですか?」
「ああ。そこでないと話をしないと押し切ったそうだ。」
「はぁ。」
「で、取調べが終わったら今度はそこから出ないと言い出したと…。」
「なんだか、良く分かりませんねぇ。」
「ああ。」
やがて爆裂山校長の車は警察署にたどり着いた。
「どうしたの?寿さん。何でそんな事言うの?」
「私には悪霊がついているの。」
「悪霊…?」
「悪霊が出てきて、男の子達をやっつけちゃったのよ。」
「はぁ。」
「私は危険なの!私をここから出したら危ないの!!」
そう叫ぶと、寿さんは再び顔をうずめた。
「寿さん、もうちょっと詳しく説明してよ。」
うずくまる彼女に声をかけずらいとは思いつつも、事情を把握しない限り話は進まない。
「じゃあ見ててね。」
そう言うと彼女は右手を差し出した。
「え、あ!」
なんと、その右手には拳銃があった。
銃に見覚えがあったのか、ひとりの警官があわてて自分の腰のガンホルダーをまさぐった。
「それ、本官の銃です!」
鉄格子の中でうずくまっていた寿さんが、なぜ廊下側にいる警察官の銃を取られるだろうか。
そこにいる一同が言葉を失った。
「ほら、何ともないでしょ。」
寿さんの声が聞こえる。
驚いて顔を上げると、そこには傷ひとつない寿さんが立っていた。
ただ、彼女を見た瞬間。ほんの一瞬だけ、彼女のこめかみあたり。もう一本の手が見えた。
拳銃の弾をつまむ手。確かにそれがあった。
弾はその手が見えなくなると同時に床に落ちた。
何が起こったのか。
「な、なんだぁ?」
「どうして?」
理解を超えた現実に慌てる一同。
「な、何で弾が止まってしまうんじゃ?」
爆裂山校長にはあの手は見えなかったようだ。
「こ、寿さん、手があったよ。手。手が弾を止めてたよ。」
主人公の言葉に、無言でうなずく寿さん。
その時だった。
「あなたにもスタンドが見えるのね。」
いつからいたのだろうか、主人公の後ろには白雪さんが立っていた。
「白雪さん…。」
きょとんとしている一同を気にせず、笑みを浮かべながら主人公をなめるように見上げる白雪さん。
「スタンド使いはスタンド使いに引き合うようになっているって、本当のようですわね。」
・・・彼らの運命は?寿さんとの恋の行方は!?乞う、ご期待!!